【事案】
 不動産の所有者Xから当該不動産の賃貸に係る事務やほかの土地の所有権移転登記手続を任せられていたAが 、Xから交付を受けた当該不動産の登記済証等を利用して当該不動産につきAへの不実の所有権移転登記を了し、AからYに所有権移転登記がなされた。そこでXがYに対して所有権移転登記の抹消登記を請求した。本件では、①特段の理由なく本件不動産の登記済証を預け、Aのいうままに印鑑登録証明書を交付し、不動産を売却する意思がないにもかかわらず、AにいわれるままにAに本件不動産を売り渡す旨の売買契約書に署名押印した。②AがXの面前で登記申請書にXの実印を押捺したのにその内容を確認することなく、これを見ていたなどの事情があった。

【判旨】


 
 上記事情からすると、「Xの帰責性の程度は、自ら外観の作出に積極的に関与していた場合やこれを知りながらあえて放置した場合と同視し得るほど重いものというべきである。そして、……、YはAが所有者であるとの外観を信じ、また、そのように信じることについて過失がなかったというのであるから、Xは、Aが本件不動産の所有権を取得していないことをYに対し主張することはできない」。